国際審査委員

レジーナ ペソア Regina Pessoa

Regina Pessoa

アニメーション監督
(ポルトガル)

プロフィール

1969年、ポルトガルのコインブラ生まれ。オポルト芸術大学卒業。ペソアは、1992年にアビ フェイジョの作品(『The Outlaws』、『Fado Lusitano』、『Stowaway』)でアニメーションを始め、さらに『Vicious Cycle』と『Christmas Stars』では共同監督を務めた。 1999年、初のインディペンデントアニメーション作品『The Night』を監督。2005年、『Tragic Story with Happy Ending』を監督、2012年にはポルトガル、フランス、カナダ、スイス共同制作作品『Kali the Little Vampire』の監督を務める。
ペソアは、これらの全ての作品において異なる「彫り」(エングレーヴィング)の技法を用い、それは石膏からコンピュータまで、あるいは、自ら好んで述べているように、「石器からピクセルまで」広範囲に及ぶ。
ペソアの作品は、2006年ソウル国際カートゥーン・アンド・アニメーション映画祭(SICAF)グランプリ(韓国)、2006年アヌシー国際アニメーション映画祭グランプリ(フランス)、2007年サウス・バイ・サウスウエスト・フィルム会議映画祭(SXSW)短編アニメーション部門グランプリ(アメリカ)、2007年米国アカデミー賞最終候補、2012年広島国際アニメーションフェスティバル ヒロシマ賞、2013年アニー賞最優秀短編アニメーション主題部門ノミネート(アメリカ)、2006年と2013年カートゥーン・ドール最終候補(ヨーロッパ)等を含め、世界中で受賞している。

フィルモグラフィ
  • 『Vicious Cycle』 ドローイングアニメーション、23秒、ベータカム(GlaxoWellcomeのための委託映画-たばこ犯罪防止キャンペーン)、アビ フェイジョとPedro Serrazinaとの共同監督、1996年
  • 『Christmas Stars』 ドローイングアニメーション、40秒、ベータカム(ポルトガルテレビRTPのため)、アビ フェイジョとの共同監督、1998年
  • 『The Night』 石膏ボード・エングレーヴィング、6分35秒、35mm、1999年
  • 『Odyssey in Images』 ミックスドテクニック、25秒、ベータカム、35mm(映画祭のためのオープニングタイトル)、2001年
  • 『Tragic Story with Happy Ending』 エングレーヴィング技法、7分45秒、35mm、2005年
  • 『Kali the Little Vampire』 コンピューター・エングレーヴィング技法、9分30秒、35mmおよびDCP、2012年

クリスティーヌ パヌーシュカ Christine Panushka

Christine Panushuka

映画作家、アニメーション作家、教育者、南カリフォルニア大学映画芸術学部教授
(アメリカ)

プロフィール

クリスティーヌ パヌーシュカは、国際的に著名な、数々の受賞歴を持つフィルムメーカー、アニメーション作家、教育者である。パヌーシュカの作品は、アジア、ヨーロッパ、南アメリカ、北アメリカで上映され、アスペン映画祭グランプリや、サンフランシスコ国際映画祭ゴールデンゲート賞を含む多くの賞を受賞、「完全にオリジナルで、複雑な知性と感性双方に影響を与える作品である」と評されている。
最新作『Content of Clouds』は、8分間の実験的アニメーションで、手でカットしたリノリウムや、発見された収集品、デジタル素材などのコラージュを用いている。
時間の経過とともに個々人のユニークな情景が変化するように、感覚された情動を視覚化したものである。
現在、パヌーシュカは、南カリフォルニア大学映画芸術学部、ジョン C. ヘンチ・アニメーションおよびデジタルアート科において終身在職権を持つ教授である。パフォーマンス・アーティスト、アルベルト アラジアと共同で、30分のアニメーション舞台パフォーマンス『Mosca and the Meaning of Life』を制作し、2009年10月26日、レッドキャット劇場にて初演されている。
1996年、Absolut Visionaryという名のもとにウェブサイト『Absolut Panushka』を概念化し、監督、キュレーションしている。これは、Absolut Vodkaがスポンサードしたコンテンツ型ウェブサイトの第2弾であり、実験的アニメーションを支援、推進した革新的なウェブサイトである。フェスティバルセクションを特色とし、パヌーシュカを含む32名の世界的アニメーターにスポットを当てた。また、ウィリアム モリッツ博士によって書かれたアニメーションの歴史と、アニメーションツールも含まれており、世界中の誰もがアニメーションを制作してこのサイトに掲載することができた。『Absolut Panushka』は、コミュニケーションアート誌から優秀賞、ロサンゼルスのワールド アニメーション セレブレーションとユトレヒトのオランダ国際アニメーション映画祭の両方でインターネット上のアニメーションとして最優秀賞を獲得するという栄誉を受けた。
パヌーシュカはアニメーションの上映プログラムをキュレーションしている他、映画祭審査員も務め、広島国際アニメーションフェスティバル、オタワ国際アニメーションフェスティバル、グラス国際アニメーションフェスティバルの選考委員を務めた。また、南カリフォルニア大学に勤める以前は、カリフォルニア芸術大学実験的アニメーションプログラムのアソシエイト・ディレクターを14年間、映画ビデオ学部の副学部長を3年間務めた。カリフォルニア州立夏季アニメーション学校ではカリフォルニア州の後援を受け、才能ある高校生のためのアニメーションプログラムを創設し、また、インナーシティーアートとエンシノメディアセンターのカリフォルニア芸術大学コミュニティーアートパートナーシップにアニメーションプログラムを創設した。これらのプログラムは、学生に対しアニメーションのさまざまな形式の経験を深いレベルで提供していたという点で、ユニークなものであった。
カリフォルニア芸術大学美術学修士号、ユタ大学から美術学学士号を受けており、ユタ大学では、2015年に「優秀同窓生賞」の栄誉を受けている。

ウィレム タイセン Willem Thijssen

Willem Thijssen

プロデューサー
(オランダ)

プロフィール

1969年から1973年、オランダ映画アカデミーにおいて監督および制作を学ぶ。タイセンは、非営利の配給者としてキャリアを始め、1976年以降、主にプロデューサー(長編作品、ドキュメンタリー、短編アニメーション)、および監督(ドキュメンタリー、フィクション)として活躍。1975年、自身初の短編アニメーション『Between the Lights』をプロデュース。また、自身初の長編プロデュース作品『Hyena’s sun』は、1977年、カンヌ国際映画祭監督週間に選定された。これまで、共同制作または制作者として約80作品をプロデュースしており、そのうちの10作品は監督を務めている。
長編作品として、ポール コックス監督『Innocence』(2000年)、フランツ ヴァイス監督『Last Call』(1995年)、トム ホフマン監督『The Ditvoorst Domaines』(1992年)、ロビー デ ハート監督『Gaston’s War』(1996年)、Ger Poppelaers監督『Missing Link』(1998年)、Bert Beyensとピエール デ クレルク監督『Jan Cox』(1988年)、トム ファサート監督『An Angel in Doel』(2011年)、そして自身で監督を務めた『Practical Pistol Shooting』(2006年)がある。

その他、タイセンは20数作品の短編アニメーションをプロデュースし、ニコール ファン フーテム監督『A Greek Tragedy』(1986年)とマイケル デュドク ドゥ ヴィット監督『Father and Daughter』(2000年)の2作品は短編アニメーション部門でオスカーを獲得。これらの作品はともに、アヌシー国際アニメーション映画祭で最優秀賞と観客賞を獲得している。また、その他のプロデュース作品として、ポール・ドリエセン監督『3 Misses』(1999年)は米国アカデミー賞ノミネート。最近では、ヒスコ ハルシングによる『Junkyard』(2012年)がオタワ国際アニメーション映画祭グランプリ、シュトゥットガルト国際アニメーション映画祭観客賞を獲得している。

また、タイセンは、オランダ映画基金、オランダ芸術評議会、フランドル映画基金で長年にわたりコンサルタントとして従事。2009年から2012年、オランダ映画基金初の長編アニメーションコンサルタントに任命されたほか、サンクトペテルブルグ、ユトレヒト、アントウェルペン、ザグレブなどいくつかの映画祭において審査員も務めている。米国映画芸術科学アカデミー(AMPAS©)、英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)、欧州フェスティバル協会(EFA)会員。

リーサ トゥリーン/ラッセ パーソン Lisa Tulin and/or Lasse Persson

Lisa Tulin and or Lasse Persson

アニメーション作家
(スウェーデン)

プロフィール

リーサ トゥリーン/ラッセ パーソンは、インディペンデント短編アニメーション作家として『Bikini』、『Hand in Hand』、『Honey-Bunny』など、伝統的な手描きのアニメーション手法で、セリフをほとんど、あるいは全く用いない作品を制作している。全ての作品は、トゥリーン/パーソン自身の制作会社であるスウィーディッシュ エクスタシー フィルムによって制作されている。これらの作品は、国際映画祭でいくつかの賞を獲得し、アメリカのMTV、フランスのARTE、イギリスのチャンネル4など、世界中でテレビ放映されている。
2013年3月、リーサ トゥリーンは、メキシコのグアダラハラ国際映画祭においてカルト映画監督としてプレミオマゲイ賞を受賞。トゥリーンの最新作『SHOWING IT ALL』(2016年)は、ストリップショーのパロディーである。
トゥリーン/パーソンは、カナダのオークヴィルにあるシェリダン大学の国際夏季アニメーション学校でアニメーションを学び、また、ルンド大学で脚本、演劇、映画、神学も学んでいる。1993年から1994年、デレク ラムとカイ ピンダルによる作品『Goldtooth』でアニメーターを務めた。
また、20年以上にわたり、スウェーデン、デンマーク、カナダでアニメーション監督、アニメーター、絵コンテ作家として仕事をしている。とりわけ、スウェーデンのマルメにあるペンフィルム スタジオにおいて、『Little Ghost Laban』、『That Boy Emil』、『Little Anna and the Big Uncle』といった作品のアニメーションおよび監督を務めてきたのは特筆すべきことである。1967年設立のペンフィルム スタジオでデザイナーおよびスーパーバイザーを務めるのはパー アリーンである。さらに、コミックストリップや子ども向けの本も手がけている。トゥリーン/パーソンは、その容姿を変えることができる。時には男性、また時には女性に。

次の作品は、ラッセ/リーサによってアニメーション、制作、監督されたものである。
  • 『Honey-Bunny』(1992年)TVオンタリオ テレフェストにてアニメーション部門第1位受賞
  • 『Hand in Hand』(1996年)第38回ビルバオ国際短編映画祭Golden Milkedi受賞
  • 『And half the Kingdom』(1998年)
  • 『Aj, aj Buff』(2000年)
  • 『Bikini』(2004年)ベルリン国際映画祭2015パノラマ ショートフィルム アワード受賞
  • 『Hetero』(2013年)リオデジャネイロで開催のダイバーシティ イン アニメーションにてベスト アニメーション2013受賞
  • 『SHOWING IT ALL』(2016年)

ヴィオレッタ ティパ Violeta Tipa

Violeta tipa

研究者、モルドバ科学アカデミー文化遺産研究所芸術視聴覚部長、音楽演劇芸術アカデミー准教授
(モルドバ)

プロフィール

1965年、モルドバ共和国北部生まれ。モルドバ国立大学ジャーナリズム学部卒業。ティパは1987年から1994年、モルドバテレビにて子どもと若者のための番組制作に従事した後、1991年より芸術研究者としてキャリアを始める。研究の関心は、テレビに関する現象、アニメーションの歴史と美学など、映像芸術の歴史と理論に関する問題の幅広い領域におよぶ。とりわけ人形劇、また、演劇と映画という二つの視覚芸術の相互作用関係に関心を持っている。
ティパの研究結果は、キシナウ(モルドバ共和国)、モスクワ、ブカレスト、ヤシ、コンスタンツァ(ルーマニア)で開催される国内あるいは国際的な40以上の学術会議にて論文として発表されている。著作には、専門書『Child and TV art』(2004年)、『Modern screen: challenges and attitudes』(2011年)、『Exploits of Guguta in cinematographic dimension』(2014年)があり、共同編纂の歴史書『Art cinema in Republic of Moldova』(2014年)の共著者でもある。また、モルドバ、ルーマニア、ロシア、イタリアの学術誌、論文集、百科事典、図書目録に100以上の研究や論文で名を列ねている。
ティパはキシナウの音楽演劇芸術アカデミー准教授として、アニメーションの歴史と美学、現代のアニメーション現象、視聴覚芸術の進化、テレビの歴史と理論についての講義を行っている。2009年から2010年、モルドバとロシアによる研究プロジェクト「視聴覚文化と若い世代形成におけるその役割」を指揮。2015年にはポーランド文化・国家遺産省およびクラクフにある国際文化センターによって与えられるシソーラス・ポロニア研究奨学金を獲得している。ティパの取り組みは、価値ある学術業績に贈られる科学アカデミー賞(2014年)、および国家賞(2015年)として評価された。モルドバ映画連合会員、国際演劇批評家協会会員。

古川タク Taku Furukawa

Taku Furukawa

イラストレーター、アニメーション作家
(日本)

プロフィール

1941年三重県伊賀市に生まれる。高校時代から漫画を描き始め、大阪外国語大学(現大阪大学)在学中にアニメーターを志ざすようになる。TCJにてTVマンガ「鉄人28号」1~3話にアニメーターとして参加後1964年、久里洋二実験漫画工房に入社し、本格的に短編アニメーションを学ぶ。独立後、短編アニメーションを次々に発表し、1969年、「牛頭」が第7回アヌシー国際アニメーション映画祭に初入選。1970年にはタクン実験漫画BOXを設立。1976年、『驚き盤』でアヌシー国際アニメーション映画祭審査員特別賞を受賞。1980年『スピード』で毎日映画コンクール大藤信郎賞、1992年『TarZAN』、1994年『以心伝心』で広島国際アニメーション映画祭部門賞。1999年『上京物語』で文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞ほか、国内外で上映活動。2002年オタワ国際アニメーション映画祭回顧特集上映。1969年よりNHKテレビ「みんなのうた」や報道番組の映像を定期的に手がける。また、1979年には画集『ザ・タクン・ユーモア』が第25回文藝春秋漫画賞。絵本『あったらいいのになあ』(1985年、文化出版)などを手がけるほか、ひとコマ漫画家、イラストレーターとしても活躍している。JTスモーキングクリーン、西武百貨店などの仕事あり。日本初の大学でのアニメーション学科として東京工芸大学アニメーション学科立ち上げに参加、10数年に渡り教授、客員教授を歴任後退官、現在文化庁メディア芸術祭運営委員、新千歳空港国際アニメーション映画祭名誉委員長、ICAF(インターカレッジ アニメーション映画祭)名誉実行委員長など。今なお現役のイラストレーター、アニメーション作家として龍角散CM、京王電鉄ドッチーモキャンペーンなど。ネットの超短編アニメーション「桜井順+古川タクのヒトコト劇場」にて世相風刺などのマイクロ短編シリーズを自主公開中。2015年の9月に新刊漫画単行本「リトルTの冒険」(1990年代雑誌「大きなポケット」連載 福音館書店)刊行。2004年紫綬褒章、2012年旭日小綬章を受章。日本アニメーション協会会長。国際アニメーションフィルム協会日本支部会員。