アニメーション作家、イラストレーター
(イギリス)
カレン ケリーは、アニメーション監督として英国アカデミー賞(BAFTA)に2度ノミネートされており、優美で絵画的なアニメーションの作風は、彼女の受賞作品やコマーシャル作品で使用されている。
ロイヤル・カレッジ・オブ・アートでは、アニメーションで優秀な成績を修め、美術の修士号を取得。カレンの短編アニメーション作品は英国内外で受賞している。アニメーション作品『Stressed』(アーツ・カウンシル/チャンネル4作品、1994)は、広島国際アニメーションフェスティバル国際審査委員特別賞、アヌシー国際アニメーション映画祭審査員特別賞、ブリティッシュ・アニメーション・アワードで「15分未満の作品」最優秀賞および、「5分以上のアニメーション作品」最優秀アニメーション賞を受賞。また、コマーシャル作品「Primal, Levi’s Jeans for Women」は、ロサンゼルスのワールド・アニメーション・セレブレーションで最優秀テレビコマーシャル賞を受賞。
カレンの作品は、世界中の多くの映画祭で上映され、ロンドンのチャンネル4などの地上波で放映されている。また、ブリティッシュ・フィルム・インスティテュートや、ロンドンのインスティテュート・オブ・コンテンポラリー・アート、ナショナル・ポートレート・ギャラリー、パリのポンピドゥー・センターにて作品が展示されている。
カレンは、コマーシャル・アニメーション監督として、また、長編やコマーシャル作品のストーリーボードアーティスト、キャラクターデザイン、ポッププロモーションのアーティスティック・ディレクターとしての経験を有している。
現在は、インディペンデント・アニメーション作品の企画および展示のために、日本武道「士道館」について、トレーニングやドローイングやアニメーションを通じた包括的な研究を行なっている。
カレンはイラストレーターでもあり、ハーロウ・スクール・オブ・アートでは、イラストレーションで優秀な成績を修め、美術の学士号を取得している。
一方、2011年の東日本大震災を受けて設立された募金団体「Kimono Girls in London」等、自身の思いと近い慈善活動のために、カラフルなイラストレーションを制作している。
また、芸術や文化交流を通して世界がより良いものになると信じ、芸術表現を通じて社会問題への意識を高めることに力を注いでいる。
立体アニメーション作家
(日本)
日本と中国の人形アニメーションの祖、持永只仁の「人形映画製作所」でアニメーションに出会い、電撃的ショックを受けそのまま現在に至っている。
初めてのアニメーションは、アメリカのTVシリーズ『ピノキオの新しい冒険』(1961)で、それ以後、『アンデルセン物語』(1966)、『マッドモンスターパーティー』(1966)、『スモーキーベアーの唄』(1967)などアメリカのTV作品が続く。
それらの間を縫い、エコー社制作の星新一原作『ふしぎなくすり』(1965)、『ようこそ宇宙人』(1966)の2作品のアニメーションを制作。その後、同じくエコー社制作の、『花ともぐら』(1970)、『チコタン ぼくのおよめさん』(初のドローイング作品、1970)『さるかに』(1972)のアニメーション制作に携わる。
日本のTV作品として、『コメットさん』(アニメーション部分、1967)、『サラリーマンミニミニ作戦』(1970)、『へんしん!ポンポコ玉』(オープニング&アニメーション部分 1973)、『魔人ハンターミツルギ』(アニメーション部分、1973)、日本初のハイビジョン作品『ブリキロボットの恋』(1988)、NHK教育テレビ『プチプチ・アニメ』、NHK教育テレビ『算数の時間マテマティカ』(低学年算数の時間の副映像 2004)などを制作。
劇場用作品として、日本初長編人形アニメーション『くるみ割り人形』(1979)、『キティとミミィの新しい傘』(1981)などのアニメーションを制作。
特撮では、『ウルトラQ 第4話 マンモスフラワー』(アニメーション部分、1966)、 『帝都物語』(アニメーション部分、1988)、『孔雀王』(アニメーション部分、1988)を制作。
また、県からの依頼により制作した作品も3作品あり、一つは埼玉県『天までとどけ』(1993)で、飛行機が初めて飛んだ場所である所沢航空公園で不定期に上映され、おそらく世界で1本のアイマックスによる人形アニメーションである。この他に、長崎県『遣唐使ものがたり』(1999)、青森県淋代海岸から飛び立ち、太平洋無着陸横断初飛行のエピソード『ミスビードル号の大冒険』(2003)がある。
一方、『イソジン』(明治製菓、シリーズ、1988~)、『Mr. CONTAC』(GSK、シリーズ、1996~)、『ドコモダケ』(NTT DoCoMo、シリーズ、2005~)など、1970年代から増え始めたCMは1000本以上あり、今現在もゆっくりと更新中である。
現在アート・アニメーションのちいさな学校で後進の育成に力を注いでいる。
国際アニメーションフィルム協会日本支部/ASIFA-JAPAN会員。
アニメーション作家
(ドイツ)
ダーヴィッド ブオブは、1972年、ドイツ南西部シュヴァルツヴァルトの小さな村に生まれる。1993年、学校卒業後、建築を学ぶためカッセルに移るが、2年後、石工見習いとなる。1997年に見習い期間を修了後、墓石彫刻に携わり、バラと十字架、ハトなどを多数彫り、とくにアルブレヒト デューラーの祈る手の彫刻を制作。1998年、ドレスデン芸術アカデミーで彫刻を学ぶためドレスデンに移って間もなく石彫刻を離れ、コンセプチュアル・アートやコンピュータ・ベースのアートに強い関心を抱くようになる。3年後、ウィーンで1年間学んだ後、パフォーマンス・ビデオアートにより強い関心を抱き、ニューメディア学科に変更。2003年に学位を取得し、2005年、最高位のマイスターシューラーを取得。
2005年、ブオブはアーティスト・イン・レジデンス・プログラムにより、6ヶ月間ニューヨークで過ごす。また、2007年、同プログラムにより、オハイオ州コロンバスに3ヶ月滞在。2008年には、フィンランドのヘルシンキに8ヶ月滞在する。墓石彫刻の仕事を続ける傍ら、ドイツ、フランス、イギリス、トルコ、アメリカ、日本など多くの国で、作品の展示と上映を行う。
2009年、短編アニメーション作品の制作に専念することとし、2011年に自身初の短編アニメーション『Das Haus/ザ ハウス』を発表。世界100ヶ所以上の映画祭で上映され、2012年、広島大会のコンペティションでも上映される。2014年、2作目の『Utö』が初公開され、50ヶ所以上の映画祭で上映される。最近では3作目の『Me by You』が完成し、公開が待たれている。すでに新たな短編アニメーション『Tongoy』を制作中であり、2016年に完成予定である。
ブオブは、基本的に、脚本からアニメーション、監督、音声まで全て一人で担当しており、時には音楽も制作する。現在は、紙に手描きする古典的な水彩アニメーションを好んでおり、合成やコンピューターを使わず、フレーム毎に1枚ずつ描いている。現在、ドレスデンとベルリンに在住し、制作を行っている。
KROK国際アニメーション映画祭プログラムディレクター、フィルム評論家
(ウクライナ)
1958年生まれ。アーリック シュピリュークは、コンピューター・プログラマーとしてモスクワ経済統計大学を卒業。一方、当初より、映画に対して強い情熱を抱いており、1975年から1980年まで毎日、ゴスフィルモフォンド(旧ソ連国立映画保存所)で作品を鑑賞し、映画について学んだ。また、1980代後半のウクライナ国内で最大のシネマクラブの一つである、キエフ「ダイアローグ」シネマクラブの設立者の一人でもある。1990年から1999年、キエフMolodist国際映画祭のディレクター職として、プログラムコーディネーター、その後プログラムディレクターを務める。1993年以降、KROK国際アニメーション映画祭にて、当初は上映ディレクターとして、その後プログラムディレクター、選考審査委員及びカタログ編集者を兼務している。2000年から2007年、フィルムアート専門誌KINO-KOLOマガジンの副編集長を務める。また、Gunnar Bergdahl監督のスウェーデンのドキュメンタリー 2作品『Ljudmilas röst / The Voice of Ljudmila』(2001)、『Ljudmila & Anatolij』(2006)のラインプロデューサーを務める。2007年から2009年、ウクライナ最大規模のシネマネットワーク「マルティプレックス・ホールディング」の国際担当副事務局長を務める。2010年から2014年、オデッサ国際映画祭のプログラム(アーティスティック)ディレクターを務め、現在は、プログラム・アドバイザー及び選考審査委員を務めている。2009年以降、シュピリュークは、ウクライナ映画製作者連盟理事、また、国際委員長を務めている。さらに、ウクライナ国立フィルム・エージェンシーの専門委員会副委員長でもあり、その時々で、ウクライナ国内の、ドイツ文化センターやブリティッシュ・カウンシル、フランス・インスティテュートの上映プログラムのキュレーターも務めている。また、ウクライナ国内外の多くの映画祭(アヌシー国際アニメーション映画祭、中欧・東欧映画祭「ゴー・イースト」、ワルシャワ国際映画祭、トビリシ国際映画祭、BIAFFバトゥミ国際映画祭など)の選考委員や審査委員を務めている他、ヨーロピアン・フィルム・アカデミー会員及び専門家、国際批評家連盟会員、フリーのフィルム評論家でもある。
ノラニム・ゼネラルマネージャー、プロデューサー
(フランス)
1965年、パリ生まれ。オリヴィエ カテランは、社会科学高等研究院(EHESS)にて民族学の教育を受け、コーカサスのグルジア国内の民族帰属意識問題について取り組んだ。サービス会社で管理職として勤めた後、1997年、文化事業経営のマスタークラスに出席し、再度、教育を受ける。その後、映画配給会社アルケイオン・フィルムスに勤務し、レ・フィルム・デ・キャトル・レーヴ協会を設立、映画協会連盟に勤務した。2000年、フランスアニメーション映画協会(AFCA)の理事に就任。その後2年間、フランスの国際アニメーションデーの祝賀行事及び、資料センターを担当。2003年から2008年の初めまでASIFA フランス支部の理事を務め、国際アニメーションデー(毎年10月28日開催)の調整を担当。2008年4月、AFCAを離れ、Serge Elissalde、Jack Wangと共にアニメーション映画制作会社「Les Trois Ours」(The Three Bears)を設立、経営を行う。セザール賞最優秀アニメーション映画賞受賞作『Kiki of Montparnasse』(2013)を含む15作品以上の短編作品と数作のオーディオビジュアル作品を制作した後、同社は2014年10月末、操業を停止。
カテランは、INA(フランス国立視聴覚研究所)でアニメーション部門の制作教育も担当し、オルリーのエコール・ジョルジュ・メリエスでの指導の他、現在はルーベのPole IIIDで、5年生の映画制作プロジェクトを受け持っている。また、円卓会議やマスタークラスでは議長を務め、リール映画祭のアニメーションキュレーター他、アーティスト団体 Barybal の設立者で代表も務めている。2012年、再びフランスアニメーションフィルム協会の理事となり、事務局長でもある。
2015年8月より、フランス北部のアニメーション界全体(アニメーション学校、プロデューサー、スタジオ、協会、作家、アニメーション専門家)を再編成する団体である、ノラニムのゼネラルマネージャーを務めている。
同年、ヨーロッパアニメーションプライド賞協会(ヨーロッパアニメーションにおいて、その能力と才能を讃える受賞式を設立することを目的としたもの)の創設者の一人となり、理事を務めている。