世界の尊敬を集める広島国際アニメーションフェスティバル。その第18回映画祭の選考審査を担当できたことに対し、広島市民、フェスティバル実行委員会、国内外のアニメーション関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。また、当初予定されていた海外からの国際選考委員におかれましては、日本の代理委員への委任を快諾して頂いたことに感謝いたします。
今年の選考審査は、COVID-19パンデミックと重なる困難な状況で行われましたが、これを払拭する力強い作品が多く寄せられました。私たちはその熱意に圧倒されながら4週間近くにわたって世界のアニメーションと心を通わせました。選考審査は、この映画祭の伝統である「広島メソッド」に則り、作者も制作国も伏せて行われました。しかし、私たちはアニメーションを作ることがどれだけ大変なことか知っています。ですから、作品の視聴を通じて作った人達のことを想い、常に慎重に審査と向き合いました。その結果、59作品が選出されました。この作品も入れたい、あの作品も素晴らしいという気持ちと、プログラムの時間枠との葛藤を乗り越えて、全応募作2,339作品の代表として選ばれた59作品です。
今年の傾向を振り返ると、長尺の作品に良作が多かったことが挙げられます。一方、より短い作品では、斬新な着想と瑞々しい感性で私たちを驚かせ嫉妬させたものが多数ありました。内容では、性的虐待などこれまで光が当たらなかった問題を取り上げたもの、命の尊厳や死生観を扱ったもの、権力の横暴に抗うものなどが印象に残りました。また、動物が登場するものも多くありましたが、ただ可愛いだけではなく人間を映す鏡として描かれていました。
いずれの作品も、愛と平和そして自由の大切さを謳う素晴らしいものです。この感動を皆さまと共有できる日が来ることを願っております。
第18回広島国際アニメーションフェスティバル
国際選考委員長
大西宏志
代理国際選考委員
佐藤皇太郎
長尾真紀子
木下小夜子