国際選考委員

スヴェトラナ フィリッポヴァ Svetlana Filippova

Karen Kelly

アニメーションフィルム監督
(ロシア)

プロフィール

1991年、カザフスタン国立大学言語学部を卒業後、1997年、モスクワの映画学校「脚本家・映画監督のための上級コース」監督/アニメーター専攻を卒業。フョードル ヒートルーク、ユーリ ノルシュテイン、エドワルド ナザロフ、アンドレイ クルザノフスキーらのスタジオで学ぶ。現在は、絵画、書籍グラフィックス、リトグラフ、そしてアニメーションに従事。
フィリッポヴァは、ロシア内外の多数の映画祭や美術・書籍展覧会に出品している。2005年、モスクワBook Artists展覧会では、リュドミラ ウリツカヤの童話のために描いた挿絵が、グラフィックアート作家協会最優秀賞を獲得。また、全ロシア「Image of a book」コンペティションでも、L.ウリツカヤの童話のための挿絵が、「青少年向け書籍のためのイラストレーション部門」最優秀賞を受賞。さらに2008年、アンドレイ プラトーノフの小説『チェヴェングール』のためのイラストレーションが、(Bookish survey新聞のノンフィクション教養文学フェアにおける)「Best painter」部門の「Man of book」賞を受賞。 アニメーション作品『The Night has come』『Sarah’s Tale』『Three Love Stories』『Where dogs die』『Brutus』『Mitya’s Love』は、アメリカ、オーストラリア、スロバキア、イタリア、スペイン、フランス、イラン、アルゼンチン、ブラジル、ジョージア、ロシアの国際映画祭で受賞。デザインやイラストレーションを手掛けた書籍には、アンドレイ プラトーノフの『土台穴』『チェヴェングール』、L.ウリツカヤの童話、イヴァン ブーニンの『暗い並木道』、ニコライ レスコフの『左利き』、そして『ヨハネの福音書』等がある。フィリッポヴァの作品は、ロシア、ドイツ、フランスにおいて個人所蔵されている。

ズビグニェフ チャプラ Zbigniew Czapla

Fumiko Magari

監督、脚本家、アニメーター、画家、グラフィックデザイナー
(ポーランド)

プロフィール

ポーランド、クラクフの美術アカデミー、グラフィックアート学部アニメーションフィルム学科を卒業。『ペーパーボックス』(2011年)、『トト』(2013年)、『ストレンジ ケース』(2017年)等の実験的アニメーション作品の監督及びプロデューサーを務める。これらの作品は、Animator国際アニメーション映画祭(ポズナン)、エチューダ&アニマ国際映画祭(クラクフ)、クラクフ国際映画祭(2017年、Silver Hobby Horse及びSilver Dragon受賞)、Message to Man国際映画祭(サンクトペテルブルク)、Ann Arbor映画祭(アメリカ)、KLIKアムステルダム・アニメーション・フェスティバル(オランダ)、ANIMATOU国際アニメーション映画祭 (スイス)、Polish Film Festival (アメリカ、Hollywood Eagle Animation Award受賞)等、世界中の映画祭で数々の賞を受賞。エリザベス・グリーンシールド財団(カナダ)、ドイツ学術交流会、ポーランド文化国家遺産省から助成金を授与される。ポーランド映画制作者協会会員、ASIFA(国際アニメーションフィルム協会)ポーランド支部会長。多くの映画祭で選考委員や審査委員を務めている。

リン トムリンソン Lynn Tomlinson

David Buob

アニメーター、監督、タウソン大学電子メディア・映画学部助教授
(アメリカ)

プロフィール

アーティスト、教授、キュレーター、そして受賞歴のあるアニメーターとして、アニメーションと絵画、彫刻、人形劇、ライブ・パフォーマンス等との交わりを探究。1980年代後半よりアニメーションに携わる。触感のあるクレイ・オン・グラス技法を用いて絵画的なアニメーション・プロセスを試み、現在、環境や歴史に関する、独特な視点からの物語を調査するアニメーションを制作中。メリーランド、フロリダ、ペンシルベニア各州の、インディペンデント・メディア・アーティスト奨学金を始め、多くの助成金や特別奨学金を授与されている。アニメーション作品は、アヌシー、広島、オタワ、AnimaMundi、Tricky Women等の国際アニメーション映画祭、また、環境や子どものための多くの国際映画祭で上映。 トムリンソンの独創的な作品は、コーネル大学やデラウェア大学で個展が開かれ、デラウェア現代美術センター、バージニア現代美術館、国立ギャラリーでグループ展に出品。『The Ballad of Holland Island House』(2014)は、30以上の国際映画祭で公式上映され、グリーンピース主催コンテスト「気候変動からの絵葉書」で第1位受賞のほか、ニューヨーク近代美術館教育部門コレクション収蔵。アヌシー国際アニメーション映画祭でコンペティション上映された『The Elephant’s Song』(2018)は、ドーハから広島まで世界中の映画祭で公式上映され、ブラック・マリア映画祭で2019 Global Insights Stellar賞、Women in Animation賞のほか、ASIFA(国際アニメーションフィルム協会)アメリカ東部支部主催2019 ASIFA East Awardsでインディペンデント作品部門第1位及び優秀音楽賞を受賞。
客員アーティストとして、ミシガン大学、ベニントン大学、国立台南芸術大学、ボーリング・グリーン州立大学、コーネル大学、セントラルフロリダ大学、プラット私立大学等多くの大学で教鞭を執る。また、「Animation Journal」、「Animation Practice, Process, Production」等の専門誌に寄稿。現在、タウソン大学電子メディア・映画学部助教授、メリーランド州ボルチモア郊外在住。ASIFA(国際アニメーションフィルム協会)、アニメーション学会及びUniversity Film and Video Association会員。モネの『睡蓮』を題材として、クレイ・オン・グラス技法のフルドーム・アニメーションに関するクリエィティヴ・リサーチ・プロジェクトに取り組んでいる。

ステファン ストラティル Stefan Stratil

Alik Shpilyuk

アニメーション作家、ウェブスターウィーン私立大学/ ウェブスター大学セントルイス校(アメリカ)講師
(オーストリア)

プロフィール

1963年、オーストリア、ウィーン生まれ。ウィーン応用美術大学にて、マリア ラスニック教授の下、エキスペリメンタルデザイン及びアニメーションを専攻し、1992年、修士課程修了。
ストラティルの短編アニメーションは、カンヌ、ベルリン、ロッテルダム、クレルモン=フェランなど70ヶ所以上の映画祭で上映されている。テレビや映画のコマーシャルや脚本を手がけているほか、国際的な雑誌や書籍、広告のためのイラストレーションやコミック・ストリップを制作している。
2004年よりASIFA(国際アニメーションフィルム協会)オーストリア支部会長、ASIFA本部会計及び役員理事。また、ウィーンのミュージアム・クォーターにて、主にアニメーション関連の展示を行うAsifakeilのキュレーターを務める。
ウェブスターウィーン私立大学及びウェブスター大学セントルイス校(アメリカ)でアニメーションを教えている。

大西宏志 Hiroshi Onishi

Olivier Catherin

映像作家、京都芸術大学(旧名称 京都造形芸術大学)情報デザイン学科教授
(日本)

プロフィール

1965年、鳥取市生まれ。京都芸術短期大学映像コース1期生。松本俊夫、相原信洋らに師事。卒業後は大阪の映像制作会社トップスタジオで企業PRビデオ、TV-CM、TV番組のタイトル等の企画・演出に従事。その後、CD-ROM制作会社ソフトエッジで『Cosmology of KYOTO − 京都千年物語 −』の制作に参加。CG制作会社ピーディ、フリーランスを経て2002年より現職。2003年、通信教育部アニメーションコースを田名網敬一、相原信洋らと共に立ち上げ、コース主任として2013年まで教育と運営に携わる。その後、通学部へ移籍し、映像制作、アニメーション制作、メディア論などの科目を担当。2014年度からは大学院でもアニメーションの指導にあたっている。国際アニメーションフィルム協会日本支部理事、広島国際アニメーションフェスティバル・プロジェクトメンバー、京都伝統文化の森推進協議会文化的価値発信委員、モノ学・感覚価値研究会アート分科会幹事。

主な映像作品:『アニメーションの原理と成立過程』(2005年、京都造形芸術大学通信教育部)、『Animated journey in Bali 2011』(2011年)、『旅メーション No. 9』(2016年、国際平和映像祭 審査員特別賞)、『旅メーション「死生学」』(2018年、毎日映画コンクールノミネート、第12回よなご映像フェスティバル グランプリ)。

主な著述:「アニメーションを作るワザ・教えるワザ」(鎌田東二編『モノ学の冒険』2009年、創元社)、「航海日誌抄録 海賊商品流通の学際的・文明史的研究で行った3つの美術展」(稲賀繁美編『海賊史観からみた世界史の再構築 交易と情報流通の現在を問い直す』2017年、思文閣出版)、「メディア技術に潜む精神性(スピリチュアリティ)と輪廻転生」(稲賀繁美編『映しと移ろい 文化伝播の器と蝕変の実相』2019年、花鳥社)。

今大会の選考審査では、オンライン審査への変更に伴い、審査に時間を要すため、選考審査の開始日を2020年5月9日から5月1日へ変更しました。
また、時差のため、海外の国際選考委員(スヴェトラナ フィリッポヴァ、ズビグニェフ チャプラ、リン トムリンソン、ステファン ストラティル)がオンライン審査会議に携わることが困難となったため、日本の大西宏志と、海外の国際選考委員から委任を受けた国内の代理国際選考委員(佐藤皇太郎、長尾真紀子、木下小夜子)4名が選考審査を行いました。

佐藤 皇太郎 Kotaro Sato

佐藤 皇太郎 Kotaro Sato

アニメーション作家
(日本)

プロフィール

1967年、東京(日本)生まれ。1990年に筑波大学を卒業後、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)へ入社し、CGとCVの研究開発に携わる。

2002年に自主制作した短編アニメーション『戦争の本質』が、KROK国際アニメーション映画祭2004のコンペティションに入選、第10回広島国際アニメーションフェスティバル(2004)にて公式上映。2012年に自主制作した短編アニメーション『レット・アウト』がブリスベン・アジア太平洋映画祭2014、第15回広島国際アニメーションフェスティバル(2014)にて公式上映。また、第13回広島国際アニメーションフェスティバル(2010)をはじめとする複数の国際映画祭にて、選考委員を務めてきた。

2004~2007年、多摩美術大学・非常勤講師。2009年~、関東学院大学・非常勤講師。2018年~、東京造形大学・非常勤講師。
2016~2020年、関東学院大学理工学部映像クリエーションコースにて、メディアデザイン研究室(佐藤研究室)を主宰し、アニメーションや短編実写映画の制作から、ノベルゲームやVRコンテンツ開発まで幅広い分野の教育・研究を行う。

メディアアート作品として「画像認識タロット占い『カメラdeタロット』」、カードゲーム用画像認識技術として「切り貼り偽造に強い2次元コード『メロンコード』」などをナムコ在籍中に発明・製品化。2012年にバンダイナムコゲームスを退職。2013年~、サトリデザイン(Satory Design)代表。

共編著『ディジタル映像表現[改訂新版]』(2015年)、『入門CGデザイン[改訂新版]』(2015年)。共著『実践マルチメディア[改訂新版]』(2018年)。

昔話記述言語(物語の構造をコンピュータで分析するための人工言語)研究会ディレクター。
日本口承文芸学会、画像電子学会、日本アニメーション学会、日本アニメーション協会、ASIFA-Japanの会員。

長尾真紀子 Makiko Nagao

長尾真紀子 Makiko Nagao

アニメーション制作、普及、研究(芸術表象)
国際アニメーションフィルム協会日本支部/ASIFA-JAPAN事務局長
(日本)

プロフィール

1985年、慶應義塾大学文学部卒業。在学中より、アニメーション作家 木下蓮三・木下小夜子が主宰する(株)スタジオロータス入社。木下小夜子秘書・助手として、主に短編アニメーションの制作、普及、プログラム企画制作、著作権管理等に携わる。国内外の映画祭、美術館、テレビ放映等のアニメーションプログラム制作多数。
スタジオロータス短編作品では、『ピカドン』(1978年)等の普及活動の他、『ゲバゲバ笑タイム』(1986年)、『無想』(1988年)、『最後の空襲くまがや』(1993年、埼玉県平和資料館常設上映作品)、『ひろしくんは空がすき』(1994年、芸術文化振興基金助成作品)、『琉球王国 - Made in Okinawa』(2004年、芸術文化振興基金助成作品)等の制作マネージメントを担当。

アニメーションアート振興の活動として、広島国際アニメーションフェスティバルでは、1985年の第1回大会から今日まで、木下小夜子フェスティバル・ディレクター秘書として運営全般に携わる。1990年よりプロジェクト委員。主に上映/展示プログラム企画制作を補佐。2013年より大会実行委員も兼任。
第17回大会 HIROSHIMA 2018 国際選考委員。
2005年より、ASIFA-JAPAN主催「国際アニメーション・デー」も毎年運営。

理論的研究では、ドキュメンタリー概念およびドキュメンタリーを担うメディアとしてのアニメーションについて考察。2014年より女子美術大学大学院芸術表象研究領域 杉田敦教授に学び、2020年、同大学院博士(美術)学位取得。学位論文「アニメーションによるドキュメンタリー再考」。
学術論文に「アニメーションにおけるドキュメンテーションの可能性:アニメーテッド・ドキュメンタリー研究史を概観して」(女子美術大学研究紀要第47号、2017年)、「「出来事の〈概要〉」を提示するアニメーションの潜在的可能性:アニメーションと他の表象との比較考察」(女子美術大学研究紀要第48号、2018年)、‘The possibility of documentation through animation: A comparative study of the animated short Pica-Don and artworks addressing social/historical issues’(Animation Practice, Process & Production, vol.7 - 1, 2019)。Society of Animation Studies (SAS)会員。日本アニメーション学会(JSAS)会員。

木下 小夜子 Sayoko Kinoshita

木下 小夜子 Sayoko Kinoshita

アニメーション作家/プロデューサー
(日本)

プロフィール

女子美術短期大学造形科卒業。虫プロダクションを経て、1969年より、アニメーションメディアを基軸とした制作・教育・振興等の活動を国際的に展開、その領域はドキュメンタリーやフィクションを含む映像分野全域に及ぶ。特に、日本のアニメーションを世界に広く紹介すると共に、世界の作品を国内に紹介する活動を長年続けている。

TV番組では、『巨泉・前武のゲバゲバ90分』(’69 –’70)、『カリキュラマシーン』(’74 –’76)、『おはよう子供ショウ』(’76 – ’80)等、TV史に残る仕事に携わる。CMは国際賞多数受賞。
一方、木下蓮三と共にインディペンデントに制作した代表作『MADE IN JAPAN』(’72)、『日本人/ジャポネーゼ』(’77)、『ピカドン』(’78)、『最後の空襲くまがや』(’93)、『ひろしくんは空がすき』(’94)、『琉球王国-MADE IN OKINAWA』(’04)等の短編ドキュメンタリーアニメーションは、歴史や現代社会を偏りのない視点で見つめ、鋭敏な感覚と芸術性は国際的に高く評価されている。『MADE IN JAPAN』のニューヨーク国際映画祭グランプリをはじめ、すべての作品とも各国の国際映画祭にて多数受賞し、常に招待上映され続けている。

1985年、広島国際アニメーションフェスティバルを企画・実現、以後、2年に一度の開催を続け、総指揮を歴任、アニメーション界の国際的な振興に尽力している。国内外の美術大学や映画祭等での講義・講演多数、実写を含む国際映画祭の審査員歴多数、執筆活動も国際的に多数。1990年より、国際協力事業団(JICA)アニメーション制作専門家として、アジア・中東・中南米・アフリカ・オセアニア等 41ヶ国の映像関係者を対象とした講義/ワークショップ。子供を対象としたワークショップ活動にも力を注ぎ、1997年〜2006年、ASIFAワークショップ委員会(AWG)会長を務めた。
2012年、文化庁メディア芸術祭功労賞受賞。2019年、ハンガリー国より、PRO CULTURA HUNGARICA賞受賞。2020年より、米国映画芸術科学アカデミー会員。

2006 – 2009年、国際アニメーションフィルム協会(ASIFA)会長を務め、2018年より再任。ASIFA日本支部会長。日本アニメーション学会顧問。国際アニメーションライブラリー主宰。(株)スタジオロータス代表取締役。